リッカルド シャイー指揮 アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団
[DECCA (Made in Germany) 433 819-2]

 輸入盤だと思わずに買ってきて、解説書をみたら”日本語がない!”とびっくりしてしまったCDです。
 さて演奏は........これがとっても良いんですう〜。加えて録音がまた素晴らしい。細かいところまではっきりくっきりフジカラー、ってちょっと古いですか ^ ^;; 。演奏もさるものながら、この録音の良さでかなり得をしています。
 シャイーの意図がはっきり伝わってくる演奏です。具体的には、”ここは強調したい”というところで一段音量をあげつつルバートしたり、16分音符と32分音符の区別が極めて明瞭であったりというのが、聴き流していてもしっかり耳に入ってきます。また4楽章の第一主題のフーガなど、アクセントをつけている音符と他の音符との差がよくわかります。あと、他の演奏ではあまり聞こえてこないパート(特にクラリネット)が良く聞こえてアクセントになっているというのも、シャイーの考えによる録音バランスの調整なのでしょう。ティンパニも細かい所まではっきり聞こえてきます。(ライブ録音を好まれる方では逆にこのあたりを不自然に感じるかもしれません。)
 ブルックナーというとドイツ人の経験豊かな(つまりご年輩の)巨匠指揮者が棒を振ったドイツ・オーストリアのオーケストラの無骨な演奏を、というイメージがあったのですが、これはイタリア人指揮者によるオランダのオーケストラの洗練された演奏。もうひとつのお勧め版もオーケストラはウィーンフィルですが指揮者はイタリア人のアバド。かえってドイツ人ではない方が客観的にスコアを読めるのかもしれません。
 テンポは演奏時間を見ていただければわかるように、平均的な速さです。この点もチェリビダッケと違って初めて聴く人にお勧めできる点です。2楽章は演奏時間では遅いほうに入るのですが、実際聴いた感じでは遅さは感じません。僕には好きなテンポです。
 さてここで困ったのが、今まで一押しだったアバドとこちらのどちらを僕の一押しにするか、ということ。ウィーンフィル大好きな僕としてはアバド一押しを続けたいけれど、コンセルトヘボウも美しい演奏を聴かせてくれています。こうなったらもうお好みで、としか言いようがないですね。ということで★はアバドと同じ4つ半にしておきました。何故5つにしないかって?、5つにしたらアバド版を越えてしまう....ということと、やっぱりウィーンフィルじゃないところに最高点はつけたくないというくだらないこだわりからです。いずれスコア首っ引きでCDを聴いて、また考えます。
 いずれNOVIさん一押しのヨッフム・コンセルトヘボウを聴かなくてはいけないし(取り寄せ中)、まだまだ悩みは深まりそうです。
 日本版があるかどうかはわかりません(この前みてきたCD目録には載ってませんでした)。輸入盤のコーナーですましたひげ面で白い超ネクタイをしたおじさんが手を握っている写真を見かけたましたら、手に取ってみて下さい。