カール ベーム指揮 ザクセン国立歌劇場管弦楽団
[EMI EAC-40213/14 (LP)]

 録音されたのが1936年、原典版がハース校訂によって初めて世にでたのが1935年ですから、おそらく原典版による録音では現存する最古のものではないでしょうか(確証はないです)。
 買ったのは高校生の時か大学入ってからか、その頃です。ケンペとどっちが早かったか覚えていません。モノラルの古い録音で、今ほどブルックナーも好きではなかったので、1回聴いたっきりず〜っとお蔵入りになっていました。最近久しぶりに針を落としてみてびっくり、期待した以上の名演でした。
 テンポは中庸、とても聴いていて心地よい早さです。若い頃のベームは全般的に速い演奏が多く、「これも速いのかな」と思って聞き始めたので、思ったより遅いという印象でした。原典版が出版されて間もない演奏ということもあってか、楽譜を忠実に再現しようとしているのが感じられて好感が持てます。クナッパーツブッシュと違って早速原典版を使ったという、ベームのブルックナーに対する誠実さが感じられます。録音の制約のためか、特に低弦がフォルテで残ってほしい部分で物足りないところが多く、録音も悪い(といってもこの年代のものとしては良好)という欠点はありますが、歴史的貴重さ、および僕がベームの大ファンである、ということもあり、★4つ!!(けど決してそれに恥じない名演です。録音がよければ★5つつけたいところ)。
 残念ながら絶版だと思います(発売当時、完全限定版でした)。これも自家CD化を予定していますので、聴いてみたいという方はご連絡下さい。

 ちなみにザクセン国立歌劇場管弦楽団はドレスデン国立歌劇場管弦楽団の前身。当時の演奏レベルはかなり高かったようで(現在も高いですが)、ベームはそこの音楽監督をしていた当時が音楽的に最も充実して幸せな時期であった旨のコメントを残しています。